Kitto 自己満の随筆ブログ

日本の小説をこよなく愛する香港出身の者による読書感想やふとした日常の綴りが中心になるブログです。

インビジブルレイン ー 誉田哲也

インビジブルレイン ー 誉田哲也

 

一つの殺人事件から物語が始まった。

警察が動き、犯人を調べる王道ミステリーのような展開だが、話が進むにつれ、以前の事件とも関連している可能性があることがわかった。それによって警察側の隠蔽、警察組織の内部問題で捜査に影響が出る。

一方、事件の被害者はヤクザの団員であり、容疑者もヤクザと関連のある人物で、ヤクザ側の話もかなり重要な部分として書かれていた。

こういった話もあって事件を邪魔したりどんどん複雑にしてしまう。

 

やがて両方を巻き込んだのは 柳井健斗 という人物、彼を巡って警察もヤクザも一見対立の立場で関係はしていないようだが、どこかで微妙に関係しているような場面もあるというのがこの本の一番面白い部分だと思っている。

 

本書のもう一つのポイントはやはり語り手のところ、主人公は警察の姫川玲子だとは思うが、順番変えて時にはヤクザの牧田だったり、被害者の柳井健斗だったり、警察の他の人だったりして、それぞれの人物から話が展開され、中にはとても重要なヒントとなるような話も別々の人物から提供されることがなかなか面白く感じる。それに違う人物から同じことに対する見方や考え方が違うことによって、誤解が生まれ物語をより複雑にしたり、読者の感情移入をもっと簡単にできたりする効果があると思う。

 

途中までなかなか真相を予想できず、結末が気になり引き込まれていた自分がいたが、最後になってあの結末は正直少し物足りないと思う。それまであれほど複雑にしておき、伏線もある程度作ったのに、最後の終わり方は比較的に安っぽく見える。

もうちょっと衝撃が欲しかったのが本音だ。

 

これはまたもや映画の原作となる作品である。僕が読書リストの中に映画化される作品はかなり多い気がする。それだけこれらの作品は面白いんだということだと思う。

映画も見てみたいと思っている。

 

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