Nのために ー 湊かなえ
湊かなえワールドが炸裂した作品だった。
読書歴が浅い僕にはまだ慣れていない、強い言い方で言うと少し苦手かもしれない作者の物語の綴り方 ーー 登場人物みんなそれぞれ自分自身の視点から話を展開させ、少しずつゴールの結末まで誘導させてくれるその綴り方。
本作はミステリーという事もあり、事件の真相を登場人物それぞれの視点により、いくつのバージョンが出来上がったようになり、みんなそれぞれの過去とか、心の闇とか、心の中で大切な人への思いとか、事件当時の心境と思考とかで、同じ事件だけれど違う解釈で説明して行く。
章節を追うごとに新たな事実が発見され、真相に辿り着くまで読者が何度か裏切られたこともあったのだろう。
Nのために、タイトルの通り誰なんだろう?
納得する結末で、かなり読み応えのあった大作だと思う。