心の便秘
天気が悪い日に体のどこかが痛くなったりのと同じように、天気が悪い日には気持ちがブルーになる。大体そうだ。
この憂鬱の気持ちが来るのはいつも無防備で勝手に来るのだ。気づいたらもうすでに体が侵食されている。
わかっているのに止めることがなかなかできない。コントロールしたいけれどもはや制御不能な仕組みにでもなっているかとさえ思う。
こんな日には何をどうすれば良いのだろう?
自分自身ももちろん、周りの人たちにも負のエネルギーをばら撒き、かなり険悪ムードにしてしまう。
体に正直に負のエネルギーを発散したほうがいい気もするけれど、したらしたことでまた人に迷惑をかけたり、困らせたりしてしまう。
かといって発散しなければ良いのではというわけにもいかない気がする。我慢すればするほどとてもじゃないけど相当体に応える。
それでも我慢しようと努力はするばず、実に体に悪いとしか考えられない。
負のエネルギーを出したほうがいいのかな?それとも我慢すべきなのかな?と迷うかもしれないけど、本当はそもそも負のエネルギーが増殖しないこと自体が一番望ましいことに違いないと思う。
普段の生活から物を食べて、それが消化されて、ある程度の量が腸内に溜まったら体外に排出するという生理現象に似てるのではないかと思う。
普段の生活から少しずつストレスが溜まって、体外に排出しなければならない。
しかし、周りの人たちに迷惑をかけたくないから我慢してしまう。
つまりは、ウンコを我慢することだ。
普通我慢しないのですね?
でも負のエネルギーの発散はなぜか我慢するのだ!
ウンコは我慢しないのに負のエネルギーの発散はしないほうがいいとされる。弱者だとか、もっと他にポジティブに考えて有意義なことをしろとか、結構残酷的だ。
便意が盛り上がってる人に出さないほうがいいよ!お前は弱者だ!他にポジティブに考えて有意義なことをしろ!
そんなことを言うのか?おそらく言わないのだと思う。
もちろん、ウンコは人前ですることでもないので、トイレですることになっている。
しかし、負のエネルギーの発散にはトイレのような場所、あるいはそれにあたる行為のようなわかりやすい方法がないと思う。
それで、無理やり我慢してストレスが溜まって、ある日限界を超えて便秘になったり、胃腸炎になったりするのではないかと思う。
心の病とは心の便秘、心の胃腸炎とでも言えるかもしれない。
ため息はオナラとでも言えるのではないか?笑
心の老廃物を上手に排出したいと切に願いたい!
被取締役新入社員 ー 安藤祐介
被取締役新入社員 ー 安藤祐介
読了。
学生時代からドジで冴えなくて、何をやっても失敗する。とにかくモテない男。
そんなダメ人間がなぜか大手企業に採用され、しかも役員待遇の3千万円年俸をもらえるという破格な話。
その裏には人に言えない秘密が隠されている"極秘ミッション"とのこと。
そんな奇想天外な設定はとにかく面白かった。
まるで金曜日の深夜12時に放送されるコメディーのようで、"おふざけ"のコントのような場面やら、それぞれくせのある登場人物やら面白い演出が満載。また誇張で皮肉った文章の綴り方もまた秀逸で読者をかなり楽しませてくれる内容になっている。
ちょうど前に重いテーマの本を読んだ僕には最高に気分転換ができた一冊だった。
そして、一見面白さばかり重視する作品に見えるが、中にはちゃんと大事なテーマを訴えたり、メッセージ性のある物語として作者の思いが込められていると思える。
斬新な設定ではあるが、展開はどうも王道パターン的な感じで予想はほとんどできた。
しかし、そんな斬新かつ大胆な物語を書く作者のことだからまさかこんな王道パターンを持ってこないだろうと内心思っていて、本当にそうなのかなと気になってドキドキしながら読んだら結局それかという感情にもなったり、内容ももちろんのこと読んでいて痛快でならなかった。
それは作者の文章の綴り方と物語の構成力がいかにすごいのかを見せてくれる証拠なのだ。
熱くなりそうな場面もあって、最後までつまらないシーンが一つもなく読みきれた。
また、読み終わったらかなり仕事を頑張ろうと思う気持ちがじわじわと湧いてきてる。そんな熱血な作品である。
君の膵臓をたべたい ー 住野よる
去年に読んだ作品であって、この本がきっかけ
で読書の習慣がつくようになったとも言える。
別のアプリで投稿をしていたけれど、初めて味わった一冊の小説を読破した時の快感、達成感。
一つの記録として記していた。
そんな思い出のある読書感想文を是非こちらのブログにも載せたいと思って、転載させて頂きました。
2018.6
今までほとんど小説を読まなかった僕が最近なぜかわからないが読書に目覚めたようだ。
タイトルに惹かれたのと、やはり映画化されただけある人気作というのとで、これを読んでみた。
まったく物語について知らないまま読み始めると、なるほど、へぇ〜 と思いながら物語の世界に入り主人公の日常を供にさせてもらっていった。
"初心者"の僕にとってやや長編の作品かもしれないけれど意外とテンポよくページをめぐれていた。
クライマックスを迎え、結末に近づいた時、帯にに書いてあったように"きっとこのタイトルに涙する"とまではしなかったものの、心の中から何かが込み上げてきて、感動的な瞬間を体験することができた。
面白かった!
次は何を読もうかな?
どんな本に出会えるかすごく楽しみだ!
皆さんももしおすすめがあれば是非教えてください。
秘密 ー 東野圭吾
一つのバス事故で妻と娘をなくした主人公の平介だが、奇跡的に娘が蘇生できた。
しかし奇妙なことに娘の中はなんと妻の人格が生きているという、そこから始まる夫婦の間に訪れる奇妙でかつ未経験なことの数々というような展開ではあるが、中身は途轍もなく興味深い話であって、かなり読み応えのある申し分のない"神作"である。
娘の姿でありながら実は中身は妻その物、面白い設定ではあるが実際似たような話の本も結構ある。
いわゆる王道パターンだが、読んでみればとてもそうとはいえない。
最初は人格が違うせいで2人に様々な面白いエピソードが起き、中身が入れ替わったこの手の話の最大の醍醐味とも言えるのだが、その後、時間とともに夫婦の間に出来た微妙な変化、心では夫婦のままだけれど世間では親子の形、これによる主人公の心境の変化も、そして、娘、つまりその妻が学生から人生の再スタートで年を重ねていくと起きる心の変化も、次第に夫婦の間で生じる変化、溝、またはその2人の葛藤の部分もかなりリアルに描写されたので、読んでいて気持ちを平介と重ねて哀愁を感じたことも何度かあったのだ。
現実ではありえない話だがどこか現実味があり、とても空想の話だとは思わなかった。
また、夫婦の話以外にも加害者のバス運転手についての部分を物語の所々にまじり、物語を芳醇させ、主な線ではないけれどとても重要な役割を担っていたと思う。
"秘密"というタイトルでの作者のうまい演出だと思う。
あまりにも夫婦の話に没頭してしまうと"秘密"とは何のことかも忘れてしまいそうな時に、ここぞ東野圭吾だ!
読んでいる時は まさか! それはないかな?
といった気持ちが強かったためそんなに衝撃は感じなかったのだが、一度頭を整理して再度文章をじっくり読むともう心が引き裂かれては引き裂かれる気分になり、涙こそ流さなかったけれど、悲しさを超えて哀愁の世界に一気に吸い込まれて落とされたようだった。
妻と娘とのこの当たり前の毎日の生活がどれほど幸せなものなのか非常に考えさせられた作品だと思う。
作品の背景は1987年代らしいが、携帯電話のない時代ならではの連絡手段のほか時代が違うと感じたところもありなおさら"名作感"が増したと思う。
Nのために ー 湊かなえ
湊かなえワールドが炸裂した作品だった。
読書歴が浅い僕にはまだ慣れていない、強い言い方で言うと少し苦手かもしれない作者の物語の綴り方 ーー 登場人物みんなそれぞれ自分自身の視点から話を展開させ、少しずつゴールの結末まで誘導させてくれるその綴り方。
本作はミステリーという事もあり、事件の真相を登場人物それぞれの視点により、いくつのバージョンが出来上がったようになり、みんなそれぞれの過去とか、心の闇とか、心の中で大切な人への思いとか、事件当時の心境と思考とかで、同じ事件だけれど違う解釈で説明して行く。
章節を追うごとに新たな事実が発見され、真相に辿り着くまで読者が何度か裏切られたこともあったのだろう。
Nのために、タイトルの通り誰なんだろう?
納得する結末で、かなり読み応えのあった大作だと思う。
西の魔女が死んだ ー 梨木香歩
読了。
学校での人間関係に躓いでしまった主人公のまいがお母さんのおすすめにより、西の魔女 ー イギリス人のおばあちゃんの家で過ごした心の元気を取り戻したその期間の物語であった。
現在は日本に住んでいるイギリス出身のおばあちゃんと暮らした時間を一つ一つのエピソードで紡ぎ合わせていた。
そのエピソードの数々も決して息を詰まらせるようなすごい内容ではなく、ごく普通に暮らしている日常の描写だけだが、それを読んでいて心が温まり、癒され、まるで自分のおばあちゃんと一緒に暮らしているのではないかと彷彿させてくれるようだった。
それを"魔女の修行"と呼び、まいも次第に心が落ち着き、元気を取り戻せた上、おばあちゃんにたくさんのことを学び、人間としての成長も遂げた。
また、本編中に数えきれないほどたくさんの植物が出てきて、おばあちゃんやまいがどんな世界にいるかを繊細にかつ鮮明に説明が出来、植物に囲まれたその癒されをかなり引き出せる効果があったと思う。
作者の植物についての知識に脱帽するほどだった。
ただし外国人の僕にとってはある種の"専門用語"でもあるため、かなり苦戦をしていた自分がいたのだが、植物について詳しくなったのも事実だ。
特に "銀竜草"は衝撃を受けた。実際に見てみたくなるくらいだ。
やがてタイトル通りおばあちゃんが亡くなったのだが、悲しさを感じさせないようにこの小説で一貫していたその穏やかなトーンでそれを書かれていた。
おばあちゃんとまいとの間に出来た絆により、最後の"盛り上がり" "感動シーン"の演出は最高に良かった。
グッときて心がとても優しい気持ちになった。
最後の"ボーナストラック"的な「渡りの一日」も最初はまいの話とはわからなかったが、本編とは違うまいの一面も見れてよかったし、またその脚本の構成もとても良くて、完成度の高い短編として非常に読み応えがあった。