被取締役新入社員 ー 安藤祐介
被取締役新入社員 ー 安藤祐介
読了。
学生時代からドジで冴えなくて、何をやっても失敗する。とにかくモテない男。
そんなダメ人間がなぜか大手企業に採用され、しかも役員待遇の3千万円年俸をもらえるという破格な話。
その裏には人に言えない秘密が隠されている"極秘ミッション"とのこと。
そんな奇想天外な設定はとにかく面白かった。
まるで金曜日の深夜12時に放送されるコメディーのようで、"おふざけ"のコントのような場面やら、それぞれくせのある登場人物やら面白い演出が満載。また誇張で皮肉った文章の綴り方もまた秀逸で読者をかなり楽しませてくれる内容になっている。
ちょうど前に重いテーマの本を読んだ僕には最高に気分転換ができた一冊だった。
そして、一見面白さばかり重視する作品に見えるが、中にはちゃんと大事なテーマを訴えたり、メッセージ性のある物語として作者の思いが込められていると思える。
斬新な設定ではあるが、展開はどうも王道パターン的な感じで予想はほとんどできた。
しかし、そんな斬新かつ大胆な物語を書く作者のことだからまさかこんな王道パターンを持ってこないだろうと内心思っていて、本当にそうなのかなと気になってドキドキしながら読んだら結局それかという感情にもなったり、内容ももちろんのこと読んでいて痛快でならなかった。
それは作者の文章の綴り方と物語の構成力がいかにすごいのかを見せてくれる証拠なのだ。
熱くなりそうな場面もあって、最後までつまらないシーンが一つもなく読みきれた。
また、読み終わったらかなり仕事を頑張ろうと思う気持ちがじわじわと湧いてきてる。そんな熱血な作品である。