涙そうそう ー 吉田紀子、吉田雄生
この本は10年前留学時買った本で、その当時まだそんなに読解力がなかったせいか、かろうじて途中まで読んだまま実家の本棚に放置していた。最近ようやく掘り出されて、今度こそ読み倒そうと。
さて、感想を書きます。
また僕の王道パターン、映画化される作品。本当によくこの手の小説を買うんだなと自分でも笑ってしまいます。薄っぺらな本読みですね。
感動作というだけあって、とても共感できた話だった。テーマは兄妹愛の話、しかしそれは再婚同士の兄妹であって、所詮血のつながりのない兄妹、そこから芽生えた感情によって様々な葛藤、気持ちの変化、兄妹だからそれ以上踏み出せない二人の運命、心に秘めた思いなどなど、よくある話だけれど、読んでいてつまらないと思わなかった。
設定は普通だが、複雑な展開もなく落ち着いた気持ちで読めた。主人公の洋太郎の人生に感情移入もしやすかった。
どこまで感動したかは個人差があると思うが、文章を追っていくうちにやはり心を打たれることになる。
切ない、純愛という言葉がよく似合う作品ではないかと思う。
最後の展開は正直少し予想しなかった。わぁー
いやだな!と思った。
ある種の読み応えとも言えた。
終始落ち着いた気分で読めた作品で、一番良かったと思うところは人物それぞれの心境の描写だ。難しい言葉はあまり使われていない、けれど読む人間には着実にそれを伝わっている。
そういう文章力はすごいと思う。